貴重な毎日を浪費しながら、人生の約半分が過ぎた模様。これからも、いつの間にか過ぎていく時間を、傍観していく予定。


by saka-zuu
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Suede 『Coming Up』

a0034589_1624092.jpg昨年の夏、サマーソニック’07に、初参戦した。
結構仕事の忙しい時期だったので、土曜日1日しかいけなかったのだが。
とにかく、「安く、ロスなく見たい」という前提から、金曜深夜発の夜間バスで出発し、翌朝大阪会場に乗り込み、終わったら即バスで帰路につき、翌早朝に帰ってくるという強行軍。
「そんなに込んでないんだろうな〜」という甘い考えは、バスに乗り込んだ瞬間に吹き飛んだ。
バスは、最近の高速バスのような豪華仕様ではなく、普通の、オーソドックスな観光バス。
その狭い車内に、満員鮨詰め状態で、およそ片道8時間の長旅。
会場に着くと、快晴!、・・・焼けるような暑さ、・・・フェスって体力勝負なんだね。

行きは、ぎゅうぎゅう詰めだが、なんとか期待感で乗り切った。
帰りは、さすがに行きと同じ状態だと厳しいと思ったが、1日で帰る人が少ないこともあってか、人数は半分程度で、二人分のシートに横になって帰れた。
帰った直後は、「きつかったな〜、もう行かん」と思ったが、なんだか今年も行きたくなって来た。
メンバー的には、大阪会場は日曜日の方がそさそうなんだよなあ、あ〜困った。

フェスなので、とにかくどこかで誰かがライヴをやっているのだが、やはり見たいアーチストを中心に行動スケジュールを組んだ。
朝は、ジ・エナミーから始まって、ブレット・アンダーソン、スーサイダル・テンデンシーズ、マニック・ストリート・プリーチャーズ、オフ・スプリング、そしてとりはアークティック・モンキーズだ。

この中で、意外と一番よかったのが、ブレット・アンダーソン。
言わずと知れた、Suedeのヴォーカルである。
”意外と”と書いたのは、Suedeとしてではなく、ソロで来たので、もしかしたら昨年発売されたソロ・アルバムからの曲だらけで、Suedeの曲は申し訳程度にしかやってくれないのか、と思っていたから。
もちろん、それでも楽しみであるし、解散前のSuedeのステージを一度も見たことがない私にとって、パフォーマーとして評価の高いブレットをしっかり見たかったのだが。

ライヴは、屋内会場で、雰囲気としては、そこだけがフェスとは異空間であって、普通のライヴ感を漂わせていた。
そんな中、ジャケット姿のブレットが現れ、ソロ・アルバムからの『Love Is Dead』でスタート。
ソロ・アルバムそのものが落ち着いた雰囲気ということもあり、朗々と歌い上げるブレットの姿が、神々しくもあった。
そして、ライブも中盤にさしかかる頃に、いよいよSuedのヒット曲のオンパレードが始まった。
・・・凄い、凄い、素晴らしい。
くねくね踊って、手を空に振りかざすブレット・アンダーソンという男の、なんと美しいことか。
『Trash』、『Can't Get Enough』、『Everything Will Flow』、『We Are the Pigs』、『Filmstar』、・・・輝かしいばかりの名曲達が会場に降り注ぐ。
ラストの『Saturday Night』では、涙が止まらなかった。
とにかく、涙が止まらない、それも、”涙がにじんで、じ〜〜んと”ではなく、”号泣”なのである。
首にかけていたタオルが、30代後半のおっさんの涙でぐしょぐしょになる姿の、なんと恐ろしいものだろうか・・・、まあ、いい。
しかし、とめどなく流れる涙を拭うのは、ブレットの姿を見ていたかったから。
次は、フェスではなくて、ソロとしてでいいので、単独ライヴツアーで見てみたい。
福岡にも、来てね、・・・Suedeとしてなら、なお歓迎。

さて、Suedeの’96年発表の3枚目のアルバム『Coming Up』である。
単純に、ギターのバーナード・バトラーが抜けて最初のアルバムと言うことで、個人的にちょっと不安だったために、買ってから結構聴き込んだ覚えがある。
・・・それではまってしまったんだよなあ、このアルバムに。
ブリット・ポップという、訳の分からない分類で語られ、ブラーのデーモンには”薬中毒”扱いされ、強引にオアシスとかと較べられて、なんだか防戦一方だったイメージが強いSuedeだが、音楽的には、正統派のイギリスのロックバンドだったと思う。

結局、ブリット・ポップというムーブメントも、ヘヴィ・メタルとか、ヒップ・ホップとかのような、音としての分類でも、サイケデリック・ロックとか、グラム・ロックとかのような様式的分類でもないので、個人的には無視して来た。
・・・単に、イギリスのロックをひとまとめにしただけの言葉だし。

このアルバムは、彼らのアルバムの中では、多分最もヒットしたと思われる。
シングルの『Trash』は、CMにも使われてたんじゃないかな?
Suedeというバンドは、『きらびやか』、『華麗』、『妖艶』、『美しい』という、ロックバンドにはあまり使われない形容詞がふさわしいという意味では異質だ。
しかし、誤解を恐れずに書けば、”デヴィッド・ボウイー”から、”ニュー・オーダー”、”エコー&バニーメン”、そして”スミス”からの、脈々として流れる、『変態的(大変失礼な表現だが、もしかしたら褒め言葉かも・・・)ロックアーチスト』を引き継いだ、貴重なバンドであったのかもしれない。
結局、解散してしまったのだが、まあそれもいたしかたない。
ロックというものが、一瞬の輝きを紡ぎだし、それを消費していく文化だとすれば、彼らの10数年間は、『刹那的な美しさ』に溢れたものだったと思う。
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by saka-zuu | 2008-05-13 17:21 | MUSIC