貴重な毎日を浪費しながら、人生の約半分が過ぎた模様。これからも、いつの間にか過ぎていく時間を、傍観していく予定。


by saka-zuu
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THE WHO 『ENDLESS WIRE』

a0034589_23433274.jpg久しぶりの音楽ネタは、話題のTHE WHOの24年ぶり(!)の新作。
一昨年の初来日(!)以来、かつてないほどの知名度をこの日本で得た直後のリリースということで、彼らのこれまでのレコードのなかでも、群を抜いて売れることだろう。
個人的にも、彼らのアルバムをリアルタイムで買うのは初めてだ。
私が学生の時分に発売されたピート・タウンゼントのソロアルバムの中に、2曲ばかりTHE WHO名義の曲があったが、それを殊更有り難がった覚えはない(もちろん買ったが・・・・)。

まず、聴く前に考えなければならないことがあった。
それは、「このアルバムは、一度解散したTHE WHOの続きではないだろう」ということ。
うまく表現出来ないが、バンドと言う物は、メンバー全員の化学反応によって彼らにしか表現出来ない世界を作る。
そうでなければ、同じギター、同じベース、同じドラムセット、同じキーボードを使って、誰かをまねして歌えば、同じ音楽が生まれてしまう。
しかし、全てのバンドが違う音楽を作り出すことが出来るのは、この化学反応があるからだ。
そこで、今回のこのアルバムであるが、亡くなってしまったキース・ムーンと、ジョン・エントウィッスルは当然いない。
もちろん、それを補うメンバーはいるが、彼らはそこで自らの音楽性を発揮するだけでなく、”THE WHO”の音を表現しなければならない。
それよりも、最も恐ろしいのは、本来メンバーであった(?)ピート・タウンゼントとロジャー・ダルトリーでさえ、24年もの間、ライヴを行ってはいるが、長い間”THE WHO”でなかったため、自らを”THE WHO”に合わせなければいけなくなっているのではないか、という危惧があった。
音楽と言う物は、表現する人間の微妙な感情や環境によって、変わっていく物だ。
それに絶えられなくなって、自らの命を落とすものもいる。
あるいは、金のために、過去の自分をコピーし続けているものもいる。
果たして、今回の”THE WHO”が、メンバー自身が自然と作り上げた物なのか?
それとも、”THE WHO”のアルバムを作らなければならないと考えながら作った物なのか?
まずはそれを検証(そんな偉そうな・・・)する必要があった。

前置きが長くなったが、早速CDをまわすと、思わず”ニヤッ”としてしまう。
オープニングのイントロが、『ババ・オライリー』そのものではないか!!
その後も、随所にTHE WHOを意識させる演出が盛り込まれ、レコードで言うB面は彼らお得意の『ミニ・オペラ』になっている。
ロジャーのヴォーカルは、以前は1本調子だなんだと言われていたが、随分と表現力豊かになっている。
また、ピートの歌も、ソロよりも生き生きとしている気がする。
サウンドは、間違いなくTHE WHOの物だし、ドラムスはキースを意識しながらも、過剰に叩き過ぎていないことに好感が持てる。
素直に聴けば、クオリティの高い、実に良く出来た素晴らしいアルバムである。

では、私の検証結果はというと・・・・。
やはり復帰作ということで、THE WHOを意識して作られているのがありありと感じられる。
しかし、今回はこれでいいと思う。
もともと、ピートという人は、最新の機材を駆使して、オリジナリティを追求してきた。
その結果、『WHO'S NEXT』や、『TOMMY』という傑作を生んでいったのである。
だからと言って、今回同じように最新機材をふんだんに使われたら、全く違う物が出来上がってしまっただろう。
つまり、音楽シーンは秒単位で進化しているが、我々ファンにとってのTHE WHOは、それぞれの最高傑作の時点で止まっているのである。
その時計を再び進めるためには、一旦その時点に針を戻してから考えなければならない。
ならば、この作品はこれで正解と言えるだろう。
ここから、続けられるのならば、徐々に現代に近づいていけば良い。
キース的なドラムスも、新作毎にザックの色合いになっていけば良いし、ジョン的なベースも、ピノのカラーに変わっていけば良い。
それが、THE WHOに馴染まなければ、また変われば良いし、変わり続けて、バンドが私の考える物から離れていけば、私が取り残されれば良い。
私は、いちファンとして、それを恐れはしない。
それよりも、ファンに媚びて自らの音楽をなぞることを潔しとするようなバンドに、THE WHOにはなってもらいたくはない。
次回作が、楽しみでもあり、不安でもあるという、現役感覚を持ち続けて欲しい。
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by saka-zuu | 2006-12-03 00:24 | MUSIC